SS集です。キャラクター同士の関係がわかりやすいかなと思います。
いろいろと模索中ですので、こちらを音声化する予定は今のところありません。参考までに。
4人の幼少期。クローバー探しが主な遊びだった。
ルビカ「はあはあ。ほら見て!あった!あったぜクローバー!」
ホヅミ「あ、ほんとだ!あーあ、今日もルビカの勝ちか」
カイ「すげ…」
マオ「顔そんな泥だらけにして、"女がスタル"ってやつだな」
ルビカ「うっせーな。別に男とか女とかどうでもいいんだよ。はあ~クローバー…綺麗…」
ノリア「ルビカ様ー!ルビカ様!どちらですかー?」
ルビカ「あッ、やべ。ノリアの声だ。戻らねーと。明日もまた見つけにこような!絶対だからな!」
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カイ「痛っ」(転ぶ)
ルビカ「カイ、どうし…あッ!!血が出てる!おいみんなーーーー!カイが怪我してる!!」
カイ「大声で言うな。こんなの大したことない」
ルビカ「強がんじゃねえ!!」
カイ「?!」
ルビカ「こんだけ血出てたら痛いに決まってる!待ってろ、なんか取ってくるから!」
カイ「………」
ホヅミ「カイ!大丈夫か?」
マオ「こりゃまた派手にやったな。痛そう~~」
カイ「こんなのすぐに治るってのに…あいつ…水で洗ってくる」
カイ(水場まで歩いていき、水道の蛇口をひねる)
カイ「っ………!!!痛っ…!!」
カイ(眉間にしわを寄せ、のけぞって悶える)
ホヅミ「血止まんねーなあ。おいマオ、何か布とか持っ」
マオ「ふぅーん…」
ホヅミ「ふぅーん…って、話聞いてんのか?」
マオ(真顔でじっとカイをみつめる)
幼少期。カイが転んだ数日後。今のマオとカイの関係の始まり。
カイ「ないな…クローバー。俺だって勝ちたい…」
マオ(ゆっくりカイに近づいていく)
マオ「しろよ」
カイ「は?」
マオ「また…あの顔しろよ。見ててやるから」
カイ「何言っ…わっ!!」(更にマオが近づいてきて、しりもちをつく)
マオ「痛そうに眉寄せて、哭けよ」
カイ「……?!おい、勝手に脚!」
マオ(無理に服をめくり、カイの膝を見る)
マオ「なんだ。傷治ってんじゃん」
カイ「マ……」
マオ「………つまんね」
ルビカのとある朝。起こしにくるのはノリアの役目です。
ルビカ「んん~~~…んぁ?」
ノリア「お目覚めですか?ルビカ様」
ルビカ「あー……あれ?太陽が…」
ノリア「クスッ。もう正午を回ろうとしていますよ」
ルビカ「んん~~まだ寝るぅ~~~」
ノリア「こらこらルビカ様」
ルビカ「それ。"ルビカ様"はヤダって、もうなんッかいも言ってるだろ」
ノリア「私も何度もお伝えしておりますが、これ以外の呼び方はできませ…」
ルビカ「じゃあ起きね~」
ノリア「……ルビカ様、ルビカ様は今後、この国の女王になられるお方です。もう少し自覚を…」
ルビカ「スゥー…スゥー…んん~~~…」
ノリア「まったく…」
ノリア「こんな私を許して、くださいますか」
とある日の、ホヅミとルビカ。
ルビカ「そーそー!それでさ!カイがアタシのこと見て笑っててさ!」
ホヅミ「へぇー、そうなんだ」
ルビカ「アイツの笑った顔っていいよな。こっそり話題になってるらしいぜ。笑顔の素敵な王子様って!」
ホヅミ「ダメだ」
ルビカ「へ?」
ホヅミ「……………あっ。いや、その話、笑っちゃってダメだな~って」
ルビカ「だろ?あ~あ、なんつーかもっとこう~…アイツの良さが広まればいいのに…っておい、聞いてんのか?」
ホヅミ「アイツはダメだ」
ルビカ「ホヅミ?」
ホヅミ「いや、アイツだけじゃないか。なんでもない!忘れてくれ。じゃあな」
ルビカ「…………変なの………」
ノリアを追ってやってきたミクモと、ルビカの出会い。ルビカの部屋にて。
ルビカ「ぬわ!!!!」
ミクモ「ム?」
ルビカ「お、お、お、お、お前誰だ!!なんでアタシの部屋にいんだよ!!」
ミクモ「あば……!!え、うそ!ここってルビカ様の部屋?!?!」
ルビカ「サシで勝負ってか?ま、負けねーぞ……!!」
ミクモ「ルビカ様ぁ~~~~~~!!(ハグ)」
ルビカ「う、うわあああぁああああぁぁあああぁ!!!」
ノリア「ルビカ様…!!!どうなさいましたか!!!」
ルビカ「ノリア。こ、こいつが……」
ノリア「?!ミクモ…!!!」
ノリア「ミクモ。なぜここへ?」
ミクモ「だってお兄ちゃん、最近全然帰ってこないしぃー、どうしてるのかなぁー?って」
ノリア「手紙は送っているでしょう」
ミクモ「手紙だけじゃわかんないもん!それにぃー、噂の"ルビカ様"近くで見てみたかったし…」
ノリア「警備は何をしているんだ……。ルビカ様もルビカ様です。どうしてすぐに私を呼ばないのですか」
ルビカ「いやだって、こんな奴一人くらい、自分でなんとか…」
ノリア「それがいけないと言っているのです!!…………はあ。ルビカ様にもしものことがあったら、私は…」
ルビカ「???」
ミクモ「ルビカ様って、もっと"お姉さん"だと思ってた。遠くから見ても綺麗だなぁって思ってたし。それに、お兄ちゃんがゾッコンになるくらいだから、大人な王女様かと。でも、ふぅ~ん…なんだ、ミクモのタイプじゃん♪」
ルビカ「ゾッコン?」
ノリア「ミクモ!!」
ミクモ「よぉ~し、決めた!!ミクモ、ルビカ様と結婚する!!お兄ちゃんにも誰にも渡さないんだから!!」
マオとルビカ。頻繁に行われる王族の会合。始まる前の会話。
マオ「あらら~~今日はおしゃれしてどうなさったんですか~、ル・ビ・カ・さ・ま」
ルビカ「ノリアがこれ着てけってうるさいんだよ。アタシは服なんてどうでもいいのにさ~」
マオ「いいと思うぜ~女らしくて。綺麗だよ、ルビカ」
ルビカ「はあ~~~~。そうやって変に絡んでくんのやめろ。キモイ」
マオ「あーーーあ。お前はノリ悪いからつまんねーな~」
ルビカ「…………お前、最近何かあったのか?」
マオ「べっつに。何もねえよ」
ルビカ「嘘だ」
マオ「嘘じゃねーですよ」
ルビカ「嘘だ!瞳(め)見せてみろ」
ルビカ(マオの顔に手を添え、引き寄せる)
ルビカ「ほら違う。お前の色じゃない。血と…汗がない。昔のお前は、ここにもっといろいろなものを映していた。どうした?何があった?何かあるなら、アタシが…」
マオ「お前、近くで見ると結構美人じゃん」
ルビカ「ごまかすな」
マオ「ごまかしてませんよ~。あのなあ、ルビカ様。変わるのなんて当たり前だと思いませんか?わかるだろ?昔の俺たちと、何もかも違うんだよ。男と女で、ほら、腕の太さだってこんなに違う」
ルビカ「男とか女とか、アタシには関係ない」
マオ「関係あるんだよ」
ルビカ「………………お前、本当は寂しいんだろ?」
マオ「……はっ。くさいこと言うのも大概にしろよ、王・女・様。じゃ、俺はそろそろ。せいぜい会合でその気合いぶつけてくださいな~」
ルビカ「マオ…!!」
カイとルビカとマオ。会合の後。
カイ「ルビカ」
ルビカ「おう、カイ!お前から声掛けてくれるなんて!!」
カイ「じ、自分から掛けることもある…」
ルビカ「あはは!そうだよな!嬉しい!」
カイ「……その服(ボソッ)」
ルビカ「んだよ?アタシの顔に何かついてるか?」
カイ「い、いや」
ルビカ「んぉ?どっした?」
カイ「や、やめろ!!覗き込むな!!」
ルビカ「お前が下向くからだろ~?つか、その眉間のしわ!相変わらずだな」
カイ「っ…」
ルビカ「お前は笑ってる方がいいよ。アタシ、お前の笑ってる顔、すげー好きなんだ」
カイ「茶化すな…!」
ルビカ「茶化してねーよ。カイの笑ってる顔、お前の心が笑ってるみたいでいいなって。この前ホヅミとも話してたんだ」
カイ「うるさいっ……!!」
マオ(突然現れて、カイの腕を引っ張っていく)
カイ「おい、なんだっ…!!やめろ!」
マオ(密室へ連れていき、カイをベッドに突き倒す)
カイ「っ。お前はいつも無理やり」
マオ「無理やりじゃねーだろ?お前も同意してる」
カイ「してない」
マオ「ああ~この部屋もすっかり使い慣れてきたな…お前が素直になれる、唯一の場所」
カイ「うるさい…!離せっ!」
マオ「離さない」
カイ「マオ……お前、どうした………」
マオ「……俺の瞳に何が映ってるってんだ…」
カイ「え?」
マオ「変わったって?…当たり前だろ、バカ」
ユリーナのパーティーにホヅミが呼ばれた。
ホヅミ「ユリーナさん、今日はご招待いただき、本当にありがとうございました」
ユリーナ「いえ、私は何も」
ホヅミ「顔色が悪い気がしますが…どうかなさいましたか?」
ユリーナ「いえ、なんでもございません」
ホヅミ「あれ?さっき着けていたネックレス、外されたのですね」
ユリーナ「え…」
ホヅミ「あ、ごめんなさい。ユリーナさんにとても似合っていて、素敵だなと思っていたので」
ユリーナ「ありがとうございます。実は………先程どこかに落としてしまったようで、今、侍従たちが探しているんです。せっかくホヅミ様が褒めてくださったというのに…私としたことが……」
ホヅミ「じゃあ、俺も手伝いますよ、ネックレス探し」
ユリーナ「そ、そんな…!ホヅミ様がそのようなこと…!」
ホヅミ「子どもの頃、よくクローバーを探して遊んでいたので、鍛えられてるんですよ。それに、きっと大切なものだったんでしょう。でしたら、少しでも人手がある方が早く見つかりますよ」
ユリーナ「ですが、ホヅミ様の手を煩わす必要は…!!」
ホヅミ「させてください」
ホヅミ(ネックレスを握り、会場外から走ってくる)
ホヅミ「ユリーナさん!!ありましたよ!!」
ユリーナ「あっ………」
ホヅミ「落とした拍子にちぎれたようで、少し短いですが」
ユリーナ「あ、あり…ありがとう…ございまっ…うぅ……」
ホヅミ「よかった。素敵なパーティーへのお礼です」
テマリと女侍従。テマリの部屋にて。侍従はみんな、マオのことをよく思っていない。
侍従「失礼します、テマリ様。夕食の準備ができました」
テマリ「ありがとうございます。これを終わらせてから参ります」
侍従「かしこまりました。ちなみに、今は何をされているのですか?」
テマリ「マオ様の外套(がいとう)を縫っているのですよ。これがあれば、寒くても平気でしょう?」
侍従「テマリ様……」
テマリ「……そんな顔をなさらないで。大丈夫ですよ」
侍従「………」
テマリ「皆様がおっしゃることはわかっています。しかしこれは、わたくしが身勝手に行っていること。マオ様に非はございません」
侍従「ですがテマリ様…」
テマリ「よいのです。マオ様を想うことが、唯一わたくしにできること。例え振り向いてもらえなくとも、わたくしは何も変わりません。さあ、できました!これでゆっくりと夕食をいただくことができます。お気遣い、いつもありがとうございます」